電験三種:平成14年度 電力科目の過去問題をまとめました。
実際の問題とは一部表記が違う箇所もあるかもしれませんが、予めご了承ください。

問1:水力発電
最大使用水量15[m³/s],総落差110[m],損失落差10[m]の水力発電所がある。年平均使用水量を最大使用水量の60[%]とするとき,この発電所の年間発電電力量[GW・h]の値として,最も近いのは次のうちどれか。ただし,発電所総合効率は90[%]一定とする。
(1) 7.1
(2) 70
(3) 76
(4) 84
(5) 94
回答
(1)
【解説】
P=9.8QHη
P=1000×88.2×100×0.90=1000×8820×0.90=7,938,000[W]=7.94[MW]
年間発電量E=P×8760[h]
E=7.94×8760=69,500[MWh]=69.5[GWh]≒70[GW・h]
問2:汽力発電

図は汽力発電所の熱サイクルを示している。図の各過程に関する記述として,誤っているのは次のうちどれか。
(1) A→B は,等積変化で給水の断熱圧縮の過程を示す。
(2) B→C は,ボイラ内で加熱される過程を示し,飽和蒸気が過熱器でさらに過熱される過程も含む。
(3) C→D は,タービン内で熱エネルギーが機械エネルギーに変換される断熱圧縮の過程を示す。
(4) D→A は,復水器内で蒸気が凝縮されて水になる等圧変化の過程を示す。
(5) A→B→C→D→A の熱サイクルをランキンサイクルという。
回答
(4)
図は p-V 図で、典型的な汽力(ランキンサイクル)の流れを文章で確認します。
- A→B:給水ポンプ(圧力を上げる)
水(液体)をポンプで押すので、体積変化は小さく「近似的に等積」とみなされることが多い。
また、理想は断熱(熱の出入りなし)で圧力上昇。 - B→C:ボイラで加熱
飽和まで加熱+蒸発+(場合により)過熱器で過熱蒸気に。 - C→D:タービンで膨張し仕事を得る
ここが重要。タービンは膨張であり、理想は断熱膨張。 - D→A:復水器で凝縮
低圧で熱を捨てて、蒸気→水へ。圧力はほぼ一定(等圧)。
タービンは蒸気を膨張させて軸仕事を取り出す装置なので、正しくは 断熱膨張。
問3:原子力発電
わが国の原子力発電所で用いられる軽水炉では,水が(ア)と減速材を兼ねている。もし,何らかの原因で核分裂反応が増大し出力が増大して水の温度が上昇すると,水の密度が(イ)し,中性子の減速効果が低下する。その結果,核分裂に寄与する(ウ)が減少し,核分裂は自動的に(エ)される。このような特性を軽水炉の固有の安全性又は自己制御性という。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に記入する語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 冷却材 減少 熱中性子 抑制
(2) 遮へい材 減少 熱中性子 加速
(3) 遮へい材 減少 高速中性子 抑制
(4) 冷却材 増加 熱中性子 抑制
(5) 遮へい材 増加 高速中性子 加速
回答
(3)
軽水炉では 水が「冷却材」と「減速材」を兼ねる。
- 冷却材:炉心の熱を運び出す
- 減速材:高速中性子を熱中性子へ落として核分裂しやすくする
よって(ア)は 冷却材。
温度上昇が起きると…
水温が上がる → 水の密度が下がる(同じ体積中の水分子が減る)
→ 中性子を減速させる“衝突相手”が減る
→ 減速効果が低下
→ 熱中性子(核分裂に寄与しやすい中性子)が減る
→ 核分裂反応は自然に弱まる(自己制御)
(イ)密度が 減少
(ウ)核分裂に寄与するのは 熱中性子
(エ)核分裂は自動的に 抑制 される
問4:その他発電
中小水力や風力発電に使用されている誘導発電機の特徴について,同期発電機と比較した記述として,誤っているのは次のうちどれか。
(1) 励磁装置が不要で,建設及び保守のコスト面で有利である。
(2) 始動,系統への並列などの運転操作が簡単である。
(3) 負荷や系統に対して遅れ無効電力を供給することができる。
(4) 単独で発電することができず,電力系統に並列して運転する必要がある。
(5) 系統への並列時に大きな突入電流が流れる。
回答
(2)
誘導発電機(=誘導機を発電運転)について大事なのは、
- 励磁(磁界)を自分で作れない
- だから 無効電力(励磁分)を外部からもらう
→ 系統連系なら系統から、単独ならコンデンサなどで供給
(1) 励磁装置が不要 → 同期機より構造が簡単で保守面有利:概ね正しい
(2) 始動や並列運転が比較的容易:概ね正しい(同期合わせが要らない)
(3) 遅れ無効電力を供給できる:ここが誤り
- 誘導発電機は基本的に 遅れ無効電力を“消費”(受ける)側です
(4) 単独運転は基本できず系統連系が必要:一般論として正しい(自己励磁設備なしなら不可)
(5) 系統投入時に突入電流が大きい:一般に正しい
問5:変電
変電所に使用されている主変圧器の内部故障を確実に検出するためには,電気的な保護継電器や機械的な保護継電器が用いられる。電気的な保護継電器としては,主に(ア)継電器が用いられ,機械的な保護継電器としては,(イ)の急変や分解ガス量を検出するブッフホルツ継電器,(ウ)の急変を検出する継電器などが用いられる。また,故障時に変圧器内部の圧力上昇を緩和するために,(エ)が取り付けられている。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に記入する語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 過電流 油流 振動 減圧弁
(2) 比率差動 油流 油圧 放圧装置
(3) 比率差動 油流 振動 放圧装置
(4) 過電流 油温 振動 減圧弁
(5) 比率差動 油温 油圧 放圧装置
回答
(3)
主変圧器の内部故障検出には大きく2系統あります。
① 電気的保護(電流を見て判断)
内部短絡などは「入る電流」と「出る電流」の不一致として現れます。
その代表が 比率差動継電器(差動保護)。
よって(ア)=比率差動。
② 機械的保護(油・ガス・圧力など現象を検出)
- ブッフホルツ継電器:内部故障で発生するガス、油の急流などを検出
→ よく「油流」や「分解ガス」を見ると言う - 圧力リレー:内部アーク等で油圧が急上昇するのを検出
- さらに、事故時の内部圧力上昇を逃がすため 放圧装置(圧力逃がし弁)を付ける
問題文は「(イ)の急変や分解ガス量」「(ウ)の急変」「圧力上昇を緩和する(エ)」なので
- (イ)=油流(急変)+分解ガス
- (ウ)=油圧(急変)
- (エ)=放圧装置
これがそろっているのが ②。
問6:送電
架空送電線路の線路定数には,抵抗,インダクタンス,静電容量などがある。導体の抵抗は,その材質,長さ及び断面積によって定まるが,(ア)が高くなれば若干大きくなる。また,交流電流での抵抗は(イ)効果により直流電流での値に比べて増加する。インダクタンスと静電容量は,送電線の長さ,電線の太さや(ウ)などによって決まる。一方,各相の線路定数を平衡させるため,(エ)が行われる。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に記入する語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(ア) (イ) (ウ) (エ)
(1) 温度 フェランチ 材質 多導体化
(2) 電圧 表皮 配置 多導体化
(3) 温度 表皮 材質 多導体化
(4) 電圧 フェランチ 材質 ねん架
(5) 温度 表皮 配置 ねん架
回答
(5)
導体抵抗はR=ρAL
で、抵抗率 ρ は温度で増える(多くの金属は温度上昇で抵抗率上昇)。
よって(ア)=温度。
交流では電流が導体表面側に偏る → 有効断面が減る → 抵抗が増える。
これが 表皮効果。
よって(イ)=表皮。
送電線の L や C は、長さや導体径だけでなく、
- 相間距離、配置
- ねん架(転相)などの構成
の影響が大きい。
文章に「送電線の長さ,電線の太さや(ウ)など」で、ここは 配置 が最も自然。
よって(ウ)=配置。
三相の各相が地面や他相と作る幾何学的位置が違うと、相ごとに L や C がずれて不平衡になります。
これを平均化する代表手段が ねん架(転相)。
よって(エ)=ねん架。
以上より組合せは ⑤(温度・表皮・配置・ねん架)。
問7:材料
CVケーブルに関する記述として,誤っているのは次のうちどれか。
(1) CVケーブルは,給油設備が不要のため,保守性に優れている。
(2) 3心のCVケーブルは,CVTケーブルに比べて接続作業性が悪い。
(3) CVケーブルの絶縁体には,塩化ビニル樹脂が使用されている。
(4) CVケーブルは,OFケーブルに比べて許容最高温度が高い。
(5) CVケーブルは,OFケーブルに比べて絶縁体の比誘電率が小さい。
回答
(2)
問8:配電
配電系統の構成方式の一つであるスポットネットワーク方式に関する記述として,誤っているのは次のうちどれか。
(1) 都市部の大規模ビルなど高密度大容量負荷に供給するための,2回線以上の配電線による信頼度の高い方式である。
(2) 万一,ネットワーク母線に事故が発生したときには,受電が不可能となる。
(3) 配電線の1回線が停止するとネットワークプロテクタが自動開放するが,配電線の復旧時にはこのプロテクタを手動投入する必要がある。
(4) 配電線事故で変電所遮断器が開放すると,ネットワーク変圧器に逆電流が流れ,逆電力継電器により事故回線のネットワークプロテクタを開放する。
(5) ネットワーク変圧器の一次側は,一般には遮断器が省略され,受電用断路器を介して配電線と接続される。
回答
(1)
問9:配電
負荷電力 P1[kW],力率 cosφ₁(遅れ)の負荷に電力を供給している三相3線式高圧配電線路がある。負荷電力が P1[kW] から P2[kW] に,力率が cosφ₁(遅れ)から cosφ₂(遅れ)に変わったが,線路損失の変化はなかった。このときの
の値を示す式として,正しいのは次のうちどれか。ただし,負荷の端子電圧は変わらないものとする。
(1) cosφ₁ / cosφ₂
(2) cosφ₂ / cosφ₁
(3) cos²φ₁ / cos²φ₂
(4) cos²φ₂ / cos²φ₁
(5) cosφ₁・cosφ₂
回答
(3)
問10:材料
絶縁材料の基本的性質に関する記述として,誤っているのは次のうちどれか。
(1) 絶縁材料は熱的,電気的,機械的原因などにより劣化する。
(2) 気体絶縁材料は圧力により絶縁耐力が変化する。
(3) 液体絶縁材料には比熱容量,熱伝導度の小さいものが適している。
(4) 電気機器に用いられる絶縁材料は,一般には許容最高温度で区分されており,日本工業規格(JIS)では耐熱クラスHの許容最高温度は180℃である。
(5) 真空は絶縁性能に優れており,遮断器などに利用される。
回答
(5)
問11:汽力発電
タービン出力700[MW]で運転している汽力発電所があり,復水器の冷却に海水を使用している。このときの復水器冷却水の流量は30[m³/s],タービンの熱消費率は8000[kJ/(kW・h)],海水の比熱容量は4.0[kJ/(kg・K)],海水の密度は1.1×10³[kg/m³]である。この復水器について,次の(a)及び(b)に答えよ。ただし,復水器冷却水が持ち去る熱以外の損失は無視するものとする。
(a)
復水器冷却水が持ち去る毎時の熱量[kJ/h]の値として,最も近いのは次のうちどれか。
(1) 2.5×10⁶
(2) 3.1×10⁶
(3) 5.6×10⁶
(4) 3.1×10⁹
(5) 5.6×10⁹
(b)
復水器冷却水の温度上昇[K]の値として,最も近いのは次のうちどれか。
(1) 5.3
(2) 6.5
(3) 7.9
(4) 12
(5) 23
回答
(4)
問12:配電

容量50[kV・A],一次側及び二次側の定格電圧がそれぞれ3.64[kV]及び200[V],短絡インピーダンス(百分率インピーダンス降下)5[%]の単相変圧器3台を,図のように一次側Y,二次側Δに結線している。この変圧器群の一次側に6.3[kV]の三相交流電源を接続して,二次側に接続された120[kW]の平衡した三相抵抗負荷に電力を供給しているとき,次の(a)及び(b)に答えよ。ただし,変圧器の損失は無視するものとする。
(a)
この単相変圧器の一次側巻線に流れている電流[A]の値として,最も近いのは次のうちどれか。
(1) 6.3
(2) 11
(3) 19
(4) 33
(5) 200
(b)
負荷が接続されている端子で三相短絡が発生したとき,短絡点に流れる短絡電流[kA]の値として,最も近いのは次のうちどれか。
(1) 2.9
(2) 5.0
(3) 7.1
(4) 8.7
(5) 15
回答
(2)


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